厚生労働省の「透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会」は5月31日、解雇無効時の金銭救済制度について、労働政策審議会でさらに検討を深めていくことが適当とする報告書をとりまとめ公表しました。同報告書では、労働者からの申し立てによる金銭救済制度について、①裁判で解雇が無効であるとの判決が下されることを要件とする金銭救済の仕組み、②解雇無効を争わず、解雇を不法行為として損害賠償請求をする裁判例を踏まえた金銭救済の仕組み、③労働者が一定の要件を満たす場合に金銭支払いを請求できる権利を法に定める場合の救済の仕組み――の3形態を軸に検討会の議論を整理。このうち、①に関しては、解雇無効・金銭支払いとその支払いによる労働契約終了を1回の裁判手続きで行うのには困難が伴う点、②に関してはいまだ裁判例も少なく、損害賠償請求と金銭を支払った場合に労働契約が終了するという効果を結び付けることが困難などの課題を指摘し、③の形式を中心に議論内容を整理しています。