【1】企業のカスハラ対策が義務化へ 
近年増加するカスタマーハラスメントに対して、 政府は「経済財政運営と改革の基本方針2024」において 「カスタマーハラスメントを含む職場におけるハラスメントについて、法的措置も視野に入れ、対策を強化する」という一文が記されました。 労働施策総合推進法(パワハラ防止法)に、従業員保護のための体制整備などを盛り込み、来年の通常国会での改正を目指しています。 また、ハラスメント対策は、カスハラ対策、就活セクハラへの対策と、 あらゆるハラスメントに対しての配慮が必要になってきています。 

●カスタマーハラスメント(カスハラ) 
顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして 当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの。 

カスハラの具体例 
・長時間にわたり、顧客等が従業員を拘束する。居座りをする、長時間、電話を続ける。 
・理不尽な要望について、 繰り返し電話で問い合わせをする、または面会を求めてくる。 
・大きな怒鳴り声をあげる、「馬鹿」といった侮辱的発言、人格の否定や名誉を棄損する発言をする。 
・殴る、蹴る、たたく、物を投げつける、わざとぶつかってくる等の行為を行う。 
・「殺されたいのか」といった脅迫的な発言をする、反社会的勢力との繋がりをほのめかす、異常に接 近する等といった、従業員を怖がらせるような行為をとる。 
・「対応しなければ株主総会で糾弾する」、「SNS にあげる、口コミで悪く評価する」 等とブランドイメージを下げるような脅しをかける。 
・正当な理由なく、権威を振りかざし要求を通そうとする、お断りをしても執拗に特別扱いを要求する。 または、文書等での謝罪や土下座を強要する。 
・クレームの詳細が分からない状態で、職場外である顧客等の自宅や特定の喫茶店などに呼びつける。 
・インターネット上に名誉を毀損する、またはプライバシーを侵害する情報を掲載する。 
・従業員の身体に触る、待ち伏せする、つきまとう等の性的な行動、食事やデートに執拗に誘う、性的な冗談といった性的な内容の発言を行う。 

企業は、顧客の主張・要求が「カスハラ」なのか、「企業として対応すべき課題なのか」 判断する必要があり、まずは事実関係や因果関係を確認する社内体制の整備が必要になります。 
 
カスタマーハラスメント対策リーフレット/厚労省 
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/pdf/casuhara_leaflet6P.pdf 

厚生労働省 カスタマーハラスメント対策企業マニュアル 
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000915233.pdf 

  
こうした流れを受けて、 東京都ではカスハラを防止する全国初の条例「東京都カスタマーハラスメント防止条例」が可決・成立し、2025年4月1日から施行となります。 罰則規定はないものの、カスハラの禁止が明示されております。 

TOKYOノーハラ企業支援ナビ/東京都産業労働局 
https://www.nohara.metro.tokyo.lg.jp/learn/kasuhara/ 

今後の法改正の動きを視野に入れ、カスハラ防止に向けた具体的な取り組みを進める必要があります。 また、カスハラ対策強化に向けた報告書素案には、 就職活動中の学生らに対する人事担当者などによるセクハラの対策推進も盛り込まれています。 

近年、採用活動におけるセクハラ問題は深刻化しており、企業のイメージ低下だけでなく、法的リスクにつながる深刻な問題に発展します。 会社を通さない個人的なやりとり、面談での個室の利用は禁止するなど会社側の対策が必要です。 厚労省により、大手企業による就学ハラスメント防止対策が公開されています。 他社対応も参考に、採用活動におけるハラスメント防止対策も検討をお願いします。


 https://www.google.com/url?client=internal-element-cse&cx=005876357619168369638:ydrbkuj3fss&q=https://www.mhlw.go.jp/content/001068393.pdf&sa=U&ved=2ahUKEwi-lffp6-qKAxXnrVYBHYYUNNoQFnoECAQQAQ&usg=AOvVaw1lwA9J2AQUIRCNvoUiC9gV
1月20日 8:40