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2022.4.17トピックス

「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会報告書」が公表されました

概要

 

権利等の法的性質

⑴ 対象となる解雇・雇止め
無期労働契約における無効な解雇(禁止解雇を含む)と、有期労働契約における無効な契約期間中の解雇(禁止解雇を含む)及び労働契約法19条に該当する雇止めを対象とすることが考えられる

⑵ 権利の発生要件等
①当事者間に労働契約関係が存在すること、②使用者による解雇の意思表示がされたこと、③当該解雇が無効であること、が考えられる。なお、ここでの検討は、主張立証責任についての現在の裁判実務を変更する趣旨のものではない。

⑶権利行使の方法
形成権構成の場合であっても、当面は、権利行使の方法は訴えの提起及び労働審判の申立てに限ることが考えられる。

⑷ 債権発生の時点
労働契約解消金債権が発生する時点については、形成権構成の場合は形成権の行使時点、形成判決構成の場合は判決等の確定時点であるが、両構成ともに、判決等の確定時に弁済期が到来し、その前に支払がされてもその効果(労働契約終了効)は生じないとすることが考えられる。

⑸ 権利行使の意思表示の撤回等
判決等の確定時まで、形成権構成における形成権行使の意思表示の撤回及び形成判決構成における訴え取下げ等は可能であるとすることが考えられる。

⑹ 権利放棄
権利放棄については、解雇の意思表示前は仮に双方の合意によるものであったとしても公序良俗に反し無効と考えられるが、解雇の意思表示後は労働者の自由意思に基づくものと評価できるのであれば認められるものと考えられる。

⑺ 相殺・差押えの禁止
労働契約解消金債権を相殺・差押禁止とするか否かについては、法技術的にはいずれの措置も可能であると考えられ、労働契約解消金の性質等も踏まえた検討を行った上で、その要否及び範囲について判断することが適当。

⑻ 権利行使期間
少なくとも2年程度は確保する必要があると考えられるが、具体的な期間については種々の選択肢があり得、政策的に判断すべき。

⑼ 権利の消滅等
訴え提起等の前に労働契約解消金の支払以外の事由により労働契約が終了した場合、本制度の適用は認められないと解される。訴え提起等の後の場合は、形成権構成の場合は発生していた労働契約解消金債権が消滅し、形成判決構成の場合は労働契約解消金の支払請求は認められないとすることが考えられるが、政策的判断としては、労働契約が終了した事由の性質の違いに着目し、取扱いを異ならせることもあり得る(例えば、辞職については、労働者の再就職を阻害しないよう、労働契約解消金債権の
帰趨に影響はないものとの措置を講じることが考えられる。)。

⑽ 解雇の意思表示の撤回
使用者が解雇の意思表示をした後に、解雇が無効であることを争わないとしてそれを撤回したとしても、労働契約解消金の支払請求を妨げる事由とはならないとすることが考えられる。

 

各請求との関係について
労働契約解消金は、バックペイ、不法行為による損害賠償、退職手当の各債権とは別個のものと整理し得るため、それぞれの請求や地位確認請求と併合して訴え提起等をすることができるほか、バックペイについては、解雇から労働契約解消金支払時まで発生すると解することが原則であり、1回の訴訟で認められる範囲については一般的にみられる判決確定時までとの判断を変更する特段の規定を設ける必要はないと考えられる。

 

有期労働契約の場合の契約期間中の解雇・雇止め
権利の発生要件等は、有期労働契約期間中の解雇の場合には、①当事者間に有期労働契約関係が存在すること、②使用者による解雇の意思表示が契約期間の途中でなされたこと、③当該解雇が無効であることが、雇止めの場合には、①当事者間に有期労働契約関係が存在すること 、②当該労働契約につき、労契法19条1号又は2号のいずれかの要件を満たすこと、③当該労働者により契約期間中又は当該契約期間満了後遅滞なく更新の申込みの意思表示がされたこと、④使用者が契約更新を拒絶したこと(雇止め)、⑤当該更新拒絶が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないことが、それぞれ考えられる。なお、ここでの検討は、主張立証責任についての現在の裁判実務を変更する趣旨のものではない。その他、有期労働契約の場合に特に考慮するべき論点として、権利の消滅等の検討に関して再度期間が満了した場合等の取扱いや、労働契約解消金の算定方法等の検討に関して残りの契約期間等を考慮要素とするかなどといったものがある。

 

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