経団連は16日、経済界として初めてLGBT（性的マイノリティ）の人々に関する対応に焦点を当てた提言「ダイバーシティ・インクルージョン社会の実現に向けて」を公表しました。提言では冒頭で、「Society5.0（超スマート社会）」の到来をはじめ、経済社会の革命的変化が進む中で持続的な成長を図るために、あらゆる人材を組織に迎え入れるダイバーシティと、やりがいを実感し能力を最大限発揮できるようなインクルージョン（包摂）が求められることを指摘。そうした視点から、本人のカミングアウトなしには認識できない“目に見えないマイノリティ”であるLGBTを「身近な存在」として周囲が進んで理解するとともに、「多様な存在」として認識・受容し得る社会を構築していく必要があるとしています。さらに提言では、わが国企業による取り組みの方向性として、①幅広いプールからの人材獲得と退職の抑制、②働きやすい社内環境の整備による生産性の向上、③自社のブランド価値向上、④法的リスク回避と社員の人権保護、⑤ビジネスの拡大という五つの視点を提示。これらを踏まえ、LGBTに対するハラスメントや差別禁止の規定化、同性パートナーへの福利厚生制度の適用、理解促進へのセミナー開催、社内相談窓口の設置など、求められる取り組みの具体例を示しています。